1.試練の道から生まれた防災意識はほとんどこのエントリーの内容に関係なかったですね。
なんであんなに頑張っちゃったんだろう。 無理が見えてイタタタタ…。 こと防災意識・安全管理という点に関しては、日本は世界レベルで屈指の先進国かもしれない。 しかしふと毎日当たり前のように通り過ぎている街中の細部にまで目を凝らしてみると、「安全」、もしくは黄色と黒のツートンカラーの「危険」の文字が、至るところに「これでもか!」というほど目立つように掲げられている。 「安全作業を心がけています」「危険ですから注意してください」と、そんなところにまったく気がつかずに道を行き過ぎる人達にまで、必死に声なき声で訴えかけている様子はちょっと異常だ。 建設業に限らず道路の舗装工事、水道管工事、工事と名が付く作業場付近には、ヘルメットを被ったかわいい顔の作業員さんがぺこりと頭を下げている看板が必ず設置してある。 樹木の伐採や剪定でもあったりするし。 鉄格子の門なんかにも「指を挟まないように注意してください」って書いてあったりするな。 子供の遊技場にも「きけん」の文字がそこかしこに見られる。 ガソリンやガスなど発火性の危険物を運送する大型トラックにはタイヤのあたりに「危」。 主に駅構内におけるけたたましい電車の警笛や発車ベル音、くどいほど親切なアナウンスも日本以外ではあまりお目にかかれないものだとか。 そんな風に思いを巡らせてみて、「危険ですので○○はご遠慮下さい」「安全のためご協力をお願いします」といった丁寧な言葉で注意を喚起するメッセージが街中の至るところで過剰なまでに発せられているという日本の安全管理事情に気がついて少し驚いた。 そういえば大型トラックなどは方向指示器ランプだけではなく音声でも右折・左折などを周りに知らせられるようになっていますね。 「ミギヘマガリマス…(ピコーンピコーン)…ミギヘマガリマス…」といった具合に。 何台もそうやっていると、どのトラックがどっちへ曲がるのかなんてわからないんだけれど。 なーんで日本ではこんなに過剰に過保護なまでに「危険ですよ!」と訴えているんだろう。 確かに危険な事は山ほどあるし、それを伝える努力がまったく為されていなかったら怖い。 「絶対安全は有り得ない、だからこそ絶対に近い安全管理が必要なのだ」と前に書いた事があると思いますが、それにしても「Warning」(警告)が多すぎる。 なんでかな~なんでかな~?と考えてみたが、これは責任の所在の問題ではないかと思った。 もし万が一事故が起こってしまった場合、日本では管理責任者が責任を問われる。 工事現場なら工事をしていた会社、電車の事故なら鉄道会社、火事が起きたら建物の防火管理責任者、水害が起きたら治水政策を打ち立てた自治体や国。 公害訴訟がわかりやすい例だが、上へ上へと責任の所在は持ち上げられて行き、最終的には国が責任を問われる事になる(ことが多い)。 実際に責任を取っているかどうかは別として、国が最終的な最高責任者という事である。 被害者に責任を求めるのは酷な話だとは言え、事故の際に被害者に過失があったとしても、法律上被害者は一切罪や責任を問われる事はない。 被害者の自己責任は免除されるのだ。 これでは万が一事故が起きた際に、少しでも「過失」に相当する部分を少なくするために安全管理に携わる関係者達が「危険ですからおやめ下さい」と常日頃アピールしておかなくてはいけないという事も、なるほど頷ける。 決して見習いたくはないが、訴訟フリークスの国・米国では、被害者と加害者の双方が責任の所在を明らかにするために(相手側の責任にするために)ばんばん訴訟を起こす。 日本では世論が被害者をバッシングする事はあっても、事故の法的な責任は被害者にない、という事が前提になっている。 だから結局のところ被害者の自己責任は法的には一切問われない。 事故の経緯がどうであれ、被害者は「どうしてこんな危険なものを放置していたのか?危険性を訴える事を怠っていたのではないか?」と管理責任者に詰め寄るわけだ。 管理責任者もそういった土壌では頭を下げて責任を取らざるを得ない。 例えば、子供が電車の戸袋で遊んでいてドアが開いた時に手を引き込まれて指を切り落とさなければいけなくなった…! 駆け込み乗車をした子供が頭を挟まれて大怪我をした。 こんな時でも親が鉄道会社を相手に賠償金を請求したりしてしまうようなケースだって考えられる今時分の日本では、「安全のために危険性を訴えて注意を喚起する」という事が安全管理を司る企業側にしてみればやり過ぎてもやり足りないくらい重要な事なのだろう。 理科の実験でふざけた児童がアルコールランプや試薬で火傷を負ったら間違いなく教諭、そして学校長が責任を取らされるだろうし。 「危険な事をしたら大きな事故となって我が身に返るのだ」という事も教えられない親が増えた事は、誠に嘆かわしく思う。 親の管理責任を軽視する風潮も昔に比べたらずっと多くなったような気がする。 話が逸れたが、国を相手取っての大きな訴訟などになると国も国策をおいそれと否定する事ができないのか不誠実な態度を取らざるを得ないようで、「そんな事はさっさと謝っちまえよ、バッカじゃねぇの?」と思うのだが、日本の安全はすべてお国任せであるという事も再考の余地がある事かもしれない。 自己責任とは「自分の言動に自分で責任を負う覚悟がある」という心がけを指して言う言葉であると思うのだが、何かあっても自分で自分の面倒を見られないような状況は、ある意味心もとない。 まぁ、あれだけ執拗に注意を喚起してくれているのだから、うっかり馬鹿な事はするまいと思っていますが。 「国はなんにもしてくれない」と言う方、そういった側面は確かにありますが、(外国人在住者も含めて)日本国民の安全管理に関しては、国が「これでもか」というほどの涙ぐましい努力をしている事も理解してあげてください。 事故や災害が起きた時、結局国は被害者・被災者を助けるために奔走しているのですから…。 公務員をあまり馬鹿にしては失礼ですよ。 そして「危険」という言葉を甘く見ない事です。 伊達や酔狂で日常生活の中にそんな警告が発せられているわけではないのです。 電車のドア付近で戸袋に指を突っ込んで遊んでいるお子様を微笑ましくにこやかに見つめているお父様・お母様、エレベーターの中で飛び跳ねるお子様に「こら○○くん、ダメでしょー」しか言わないお母様、危険なだけではなくて非常に迷惑なのでやめてください。 日本の防災体制・安全管理体制は、基本的に国が責を負う、という前提のもとにあります。 何だかんだ言いつつ自己責任は免責されている構図ですね。 でも一応何かあった時に守ってもらえるだけの義務は果たしておこうと思います。 まったくの余談になりますが、何かの本で読んだ話。 外国人女性(多分欧米人だと思う)が来日して、親しくなった日本人家族の家を訪問した後、帰路を見送ってくれたその家のご夫人が「気をつけてくださいね」と言うので、彼女は「日本は治安がいい国だと聞いたのに、夜道で暴漢や強盗に襲われたりするような事があるのだろうか」と帰り道が不安でたまらなかったそうです。 「気をつけて」…普段何気なく口にしますよね。 確かにそういう意味でもあるんだけれど、欧米人と日本人のソレはレベルが違いますね。 しかし最近は明らかに子供や女性・お年寄りなど、力の弱い者を狙った犯罪が多発しています。 モラルや思考力が日本人から失われて行きつつあるのだろうか…。 イヤだなぁ。 ここまで長いエントリーにお付き合いくださった方、お疲れ様でした。 そしてありがとうございました。 来年も何卒よろしくお願い致します。
by yuzuruha_neko
| 2004-12-31 20:49
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