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私を狂わせたひと言
私は減量を決意した時、あまりにも肉がつきすぎてみっともない、不健康だからという理由で
「健康に美しく痩せよう」という固い決意のもとに、ゆっくりと、だが確実に贅肉を落として行った。
贅肉と共に内臓脂肪を落とし、固くこびりついたセルライトを落とし、見違えてスリムになった。
そこで目的は達成できたはずなのに、50kgを切った頃、明らかに私は当初の目的を見失った。
ただ肉が憎い(洒落じゃないぞ)、この肉さえ消し去れば47kgなんかすぐに行けるわ!フフン!
別にダイエットが高じて痩せること自体が快楽となったダイエットマニアになったわけではない。
50kgという、普通はたいして意味もない数字が、眠っていた忌まわしい記憶を呼び覚まし、
もっと痩せなければ、50kg程度じゃお前はまだデブ!と自分自身を責めるようになったのだ。

「私、あの頃は本当にデブだったよね、だって体重が50kgもあったんだもの」

過去の笑い話として無邪気に友人が吐いた言葉は私を打ちのめすのに十分な威力があった。
縦より横の成長が激しいことに悩んでいた私が成人して、自然と痩せて9号の服を着ていた頃、
自分ではスマートな大人の女になったと内心思っていたのに、当時の私の体重は53kgだった。
「50kg以上はデブ、デブ…」という当時の衝撃が蘇り、もっと痩せなければ、と私を追い詰める。
あの彼女の呪いの言葉が、「もっと痩せなければまだまだ私はデブなの!」と私を突き動かす。



なぜ思い出してしまったんだろう。
既製服はとうに合わなくなってしまっている。
なのにまだ私は痩せたい、痩せたくてたまらない。
骨と皮になっても47kgくらいになりたい。
薄く膨らみのある腹部の肉を削ぎ落としたい。
恨みたくはないが、恨んでしまう。
なぜそんな無神経な科白を吐いたのだと。
未だに下半身太りに悩む彼女が少し小気味いい。
華奢な骨格で、目方で得をした分悩むがいい。
典型的な日本人体形を恨むがいい。

こんな風に、大事な友人を蔑む私の心根が醜く悲しい。
心根を醜くするために痩せたわけじゃないのに…。



なぜ今日こんなに悲しくなってしまったのかというと、可愛いバルーンスカートを試着したら
腰骨まで落としてはかなければとても着用できないほど私の腹部が貧相になっていたから。
腰で落としてはくと言っても常識の範疇を超えて落とさねばならんほど私は痩せてしまったの?
結構小さめの規格のブランドだよ…? そんなに痩せちゃって私どーすんの?何がしたいの?
しみじみと悲しくなって、他愛ない、しかし確実に私をただの数字に拘泥させる言葉を憎んだ。
自分の過去の笑い話だからといって、他の人にはどう聞こえるか考えて欲しかったよ…。
誰もが貴女みたいに肩幅が狭くて極端な撫で肩で貧相な胴体の持ち主じゃないんだ。
貴女だって私の発達した骨格は西欧人みたいで格好いいといつも誉めてくれていたじゃないか。
どうして骨格が発達した立派な胴体の持ち主は目方も多めということに気付かなかったのか。
「60kgもあった」なら笑い話で済むが、50kgじゃトラウマになっても不思議じゃない数字。

当の彼女は「痩せてナイスバディになった!素敵!」と誉めてくれて、こんなこと知らない。
知らせる必要はないし、知らなくていいことだし、しかし私は悲しいと呟くくらい許して欲しい。
by yuzuruha_neko | 2006-11-30 00:34 | ヘルシー&ビューティー
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