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2006年11月20日 19:57 神名龍子 >痴漢は男女の「良い関係」の契機にはなり得ないと思います。 もちろんです(笑)。そもそも「痴漢」というのは契機ではなくて、「セクシャリティの非対称性」を契機として生じた「悪い関係」のことだからです。だけどフェミニストや男解は、それを一般論へ飛躍させるんですね。 つまり「男女対抗図式」が最初に自明の真理として置かれ、それを前提として物事を考えることしかできないわけです。ですからどれだけ反目していても、実はフェミニストと男解とは同じ前提を共有している。共有された前提が「男女対抗図式」だからこそ、反目し合うことしかできないわけです。 他にも共有している前提があって、それは「男女同質論」(性差否定)です。だから男女が何から何まで同じでないと気がすまない。そうである以上、どちらのグループも「セクシャリティの非対称性」を認めることができないんです。 しかし彼らのこのようなドグマは、一般の男女の意識や行動のありようを、かなり取りこぼして把握することしかできない。現実を見ることができなくて、自分達のドグマに合致する事例だけを取り上げて、それをさも一般論であるかのように強弁する以外に能のない集団になってしまう。これが両グループの本質ですね。 なぜ彼らが性差否定に固執するかというと、差異と差別の区別がつかないからです。「性差があるから性差別が起こる。性差がなくならない限り性差別はなくならない」という考え方になっている。つまり「差異があるから差別が起こる」という考え方です。 これは30~40年前にはよく見られた、とてもナイーブな反差別論の範型です。言語の違いや宗教の違いがなければ戦争は起こらないに違いないという、反戦思想もその一種です。 だけどこの考え方で行くと、たとえば「黒人差別は肌の色の違いがなくならない」という話になりますよね。黒人と白人が存在する限り、両者は永遠に反目し合うしかないのだという結論にしかならないわけです。これは事実にも反しているし、今はまったく流行らない考え方です。それがどういうわけか、性別に関しては今も根強く残っている。それがフェミニズムや男解なんです。 性別に関していえば、性差や「セクシャリティの非対称性」は、男女の「良い関係」の景気になることもあれば、「悪い関係」の契機になることもある。つまり性差や非対称性それ自体は、本質的には善でもなければ悪でもありません。 だから問題は、どういう場合に「良い関係」に進み、どういう場合に「悪い関係」に進むのかという、その分岐条件を明らかにすることです。性差や非対称性という出発点を目の仇にすることには全然意味がありません。 彼らの主張というのは、たまたま東京発の列車が事故を起こした例があるというだけで、そこから「東京発の列車は必ず事故を起こす」という一般法則を立ててしまうのと同じです。事故(悪い関係)の本質とはまったく関係のない「始発駅」を取り上げて、それを事故の原因だと主張するわけですね(笑)。 だけど鉄道事故を防ごうと思ったら、ある列車は安全に走行し、別の列車は事故に遭った、その違いは何によって生じたのかということを考えなければ仕方がないわけです。 2006年11月21日 20:15 やまめ 痴漢や夫婦間のDV、性犯罪は「悪い関係」ですよね。 それにしてもフェミと男解の共通前提が見事にまとめられている! そうか、両方とも性差否定が前提にあるから言動が似ているのか。 男だからって「男らしさ」という固定観念に縛られるのは嫌だ… 前提が性差否定だと解説されれば「あーなるほどー」という感じです。 この書き込み、是非本家日記に転載させて頂きたいのですが… mixiの規約上、仮に本人から了承を頂いてもダメなのでしょうか。 神名さんのこの文章、男解の補足として是非載せたいです~! 2006年11月21日 21:19 神名龍子 私は構いませんよ。むしろどんどん広めていただきたいくらいです(笑)。 少し付け加えておくと、まず、フェミニズムや男解が共有している前提は「性差否定」と「男女対抗図式」ですね。この二つの前提は、突き詰めて考えると相反するものなんです。 彼らは決して「男女対抗図式」を手放せないのだけれども、しかし「性差否定」というのは、この図式をも相対化ないし否定してしまう。男女の別が崩れてしまえば、必然的に「男女対抗図式」も崩れてしまうからなんです。 これをどのように誤魔化しているかというと、「男女対抗図式」を解決するためには「性差否定」が必要だという話にするわけですね。 すると実際の運動はどういうことになるか。「まだまだ男女対抗図式(あるいは性差別)があるぞ」「まだまだ性差否定が足りないのだ」という運動にならざるを得ません。ですから何でもかんでも、とにかく「性差別」として解釈する。そうやって次々に告発・糾弾の対象を作り上げてゆかないと、この手の運動はすぐに行き詰まってしまうのです。 これも性別に関わる問題だけの特徴ではなくて、たとえば部落差別の問題でも同じですね。「平等」をいいつつ、「まだまだ差別があるぞ」といい続けて、自分達の特殊性を、自分達の被害者性の強調という形で再生産せざるを得ない。差別解消の運動のはずが、差別再生産運動になっているわけです。 これは「差異の否定」と「対抗図式」という、本来は相反する前提を並存させていることから生じるもので、この手の運動が本質的にかかえている矛盾です。このことからも、この二つの前提が誤りであることがよくわかるかと思います。 *********************************************************** 掲示板の真性バカの書き込みについて、まずミクシィで反応を伺ったところ、 マイミクの神名龍子さん(論客として有名?)から非常にためになるご意見を頂けたので ご本人に了承を得た上で、こちらにまるっと転載させて頂きました。 さーて、これを私自身が如何に解釈して熟考した上で何某かの回答を出せるのかなー。 これをまとめるのは(私にとっては)難題なので、またの宿題ということにします。
by yuzuruha_neko
| 2006-11-23 22:53
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