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実名推進――なぜこうもズレている
Excite エキサイト : 経済ニュース

実名でのネット活用促す 総務省「悪の温床」化防止  [06月27日 08時37分] 共同通信

>総務省は27日、自殺サイトなど「有害情報の温床」ともいわれるインターネットを健全に利用するために、ネットが持つ匿名性を排除し、実名でのネット利用を促す取り組みに着手する方針を固めた。

>国内のネット人口は増加する一方だが、匿名性が高いために自殺サイトの増殖や爆弾の作製方法がネットに公開されるなど、犯罪につながる有害情報があふれている。
>総務省はそうしたマイナス面を排除し、ネットを経済社会の発展につなげていくためには、実名でのネット使用を推進し、信頼性を高めることが不可欠と判断した。

(引用終わり)


もうこりゃ呆れるとしか…。

インターネットに有害情報が溢れているのは事実。
だから無闇に子供にインターネットをやらせるべきではない、と私は思っている。
何歳から、という線引きは難しいが、少なくとも傷つきやすい少年少女にはお奨めしない。
面白半分で巨大掲示板に出入りして、何気なく貼り付けられたURLを踏んで惨殺画像でも見てしまったりしたら、取り返しがつかないショックを受けるかもしれない。
また、思春期の葛藤の最中に自殺を美化するようなサイトに出入りする事も危険だ。

しかし、その改善策として実名推進は馬鹿げているとしか思えない。
それよりも先に有害サイトを取り締まる法律を作るほうが先だろ?

現行法では「インターネット上でよく起きるトラブル」の類に、公的機関の介入はまずない。
私は法律には疎くとも多少は辛酸を舐めているので知っているが、「インターネットで起きるトラブル・犯罪に、現行法が追いついていない」とは専門窓口の人間の決まり文句だ。
実名や写真など明らかな個人情報の暴露、現実の犯罪に繋がる惧れのある犯行予告声明文、また犯罪行為の告白…これらの通報でもなければ警察は動かない。
基本的に何が起ころうとも個人で対処するしかない。
プロバイダ責任法は実際には匿名性をさらに保護しているだけ。
(顧客の情報開示が簡単にされたらそれはそれで嫌だしなぁ)
HNへの名誉毀損は成り立たないし、HNで書かれた文章の無断転載に関しても著作権は適用されない(場合がほとんど)。
個人でこれらを解決したいと思えば裁判所の許可が必要になり、カネが莫大にかかる。
インターネットとは自己責任の世界なのだ。
自己責任である事を理解した上で遊べる人間でなければインターネットはやるべきではない。

そのような世界において、固定ID、HNという事実上の匿名は、個人を識別する記号であると同時に自衛の一手段である。
WWWの世界で実名を晒す人が少数派なのは、実名活動がハイリスクである上に、ほとんどの人がトラブルに巻き込まれた際にそれを解決するだけの社会的権力や財力、時間を持ち合わせていないからだ、と思う。
そもそもリアルの世界でも人間はトラブルを起こすもの。
公共電波上でやれば無責任な観衆が面白おかしく介入して収拾はつきにくくなるが、生身の人間同士であればトラブルをまったく起こさないわけにも行くまい。
それはある意味自然な姿だ。
匿名性を利用した卑怯な奴がいるのもまた自然の姿。
個人的にはムカつくが自然の姿を否定しても意味がない。
生身の人間に「完全なる健全」を求めるほうがおかしい。

本題についてだが、ここで問題とされる「有害サイト」については、ぶっちゃけ公権力の迅速なる介入を許すようにしたほうが早い。
自殺サイトは運営者の身元を警察が把握した上で、自殺幇助の危険性を少しでも感じさせたら即介入して幇助者・志願者双方の個人情報を割って止めに入ったほうがいい。
爆弾作成方法の紹介サイトなんかぶっ潰せ。
自殺サイトにせよ爆弾作成方法紹介サイトにせよ、明らかに人命を脅かす可能性のある犯罪行為を紹介しているのであれば、そこに公権力を介入させるように現行法やシステムを変えるほうが先じゃないか?
実名なら自殺志願者が自殺やめるのか?
パッとしない人生の最後に実名公開して世間の注目を浴びながら華々しく死にたい、という劇場型の自殺者がいないとは言えないだろう?
人命に危険が及ぶ行為を取り締まる手段を後手に回して「実名推進」など、寝言だ。

真面目に書いてみたが。
総務省のおエライさんてさ、インターネットの事よく知らないんじゃないの?
専門家がアドバイスやサポートはしているんだろうけれど、専門バカってのもあるしね。
人間が利用する以上、どんな事態も起こりうる。
インターネットは悪の温床であると同時に優れた情報HDである事も事実。
情報は大事です。
インターネットがない世界なんて怖くて住めない~。
この記事(エントリー)もまたひとつの情報で、この記事を見た人にその情報が伝達されるわけだけれど、それが草の根レベルで広範囲にできるという意味ではブログも優れている。
(同時にデマを蔓延させる危険性も孕んでいる…という側面もあるのだが)
しかしブログ公開アドレスにはスパムメールが山ほど来るという現状を鑑みるに、やはり公開情報(この場合はブログ主のメールアドレスが公開情報)に危険は付きまとうわけで…。
実名でやれって、要するにインターネットでの情報伝達活動を妨げたいんじゃないのか?
などと下衆は勘繰ってしまうわけです。
マスメディアによる情報操作を簡単にしたいだけじゃん?なんてね。

プロバイダ責任法について、また裁判所による情報開示請求の許可について、警察関係者・IT犯罪専門家の方から伺った話を元に書いておりますので事実誤認等あるかもしれません。
一応当事者として伺った話なのですが…。
誤認があれば追記という形で訂正をしたいと思います。
ご指摘は掲示板もしくはメールにてよろしくお願い致します。
by yuzuruha_neko | 2005-06-28 00:43 | 放浪インターネット
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