謹賀新年/政治的プラトニズム
お正月からブログ更新している人は偉いなぁ。
私はと言うと酒飲んで文庫本だらだら読んでいるだけですよ。
再読ですが酒井順子の「容姿の時代」、中野翠の「無茶な人びと」。

酒井順子って人の文章はくどいかと思えば意外に読みやすい。
しかし自己完結を許されない人のようである。
2ちゃんねるの酒井順子スレッドで「責任を取るべきだ」という意見(書き込み)があった。
世間に「負け犬」論争を巻き起こした責任を取るべきだ、という意味。
まあ確かに「容姿の時代」を読んでいても(良くも悪くも)問いかけるべき読者がいないと成り立たない作家なんだな、と思った。
問題提起するだけして知らんフリでは振り回された読者はそう言いたくなるのかもしれない。
しかし「負け犬」に関しては未読ですが、振り回されるほどのもんですかね?
誇大解釈して勝手に振り回されていた人が多いんじゃない?
「読みやすいしそれなりに面白い」…が、それだけである。
どうも著者と価値観が一致しないようで、「ふ~ん、なるほどナルホド。あなたはそういう風にお考えなんですね。面白いですなぁ」的な感想しか出てこない。
世間での注目度(騒がれ度)を定規にしてしまえば私の中では安野モヨコと同列。
安野モヨコのほうがオブラートにくるむ事(※)が下手なので不快指数は上。

「無茶な人びと」を再読して、以前はスルーして(読み流して)しまったところなのに今回「おお、これは!」と目を見開いた箇所は、中野翠自身が頭に深く刻み込まれたという言葉、「政治的プラトニズム」について。
元がよしりんの本というだけで引く要素は満載なのだが、「政治的プラトニズム」という言葉を持ち出したのはよしりんではなく対談相手の竹田青嗣。
元々はニーチェの批判の言葉だとか。
以下引用になります。

○「政治的プラトニズム」は、政治的に絶対正義を要求する考え方
 その2大支柱となるものは、
○他者のためになる事こそ良い事だという「絶対他者主義」
○いちばん弱い人間の立場に立つべきだという「絶対弱者主義」

…うーん、面白い!
と言うか、なんで以前読んだ時は見逃していたんだろう。
私が嫌うタイプの思想がずばり言い表されていて爽快。
中野翠はかねがね「良心的で真面目で善良と思われる人びとの主張が、おうおうにしてユートピア的というかメルヘン的な傾向をおびること」を不思議に思っていたそうだ。
「まず何か素晴らしく清潔で純粋で平和な人間世界を想定して、そこから現実をかえりみて物を言うというパターンが、子どもじみているうえに自己陶酔的で気持ち悪い」と続ける。
いわゆる「お花畑」ってやつですね。
文章を書く事で飯で食っているプロはやはりすごい、と感心。
私が気持ち悪くてたまらなかったけれど上手く言葉に出来なかった気持ちをこうも的確にポンと書いちゃうんだからなぁ…。
竹田の言葉をさらに引用。

○ひとつ間違えると正義のためにはどんな事も許されるというところまで行く可能性があって、
 ひとつの例が連合赤軍事件です。
 スターリニズムやファシズムにも基本的には絶対正義主義がある。
 オウムもまた同じ形です。

「絶対他者主義」「絶対弱者主義」は左翼的思想を善しとする人々に支持される事が多い。
(みつを好きの人から感じる匂いもこれと同質)
もともと悪い事というわけではないですしね。
利己主義や弱肉強食は人間的ではないという意見のほうが真っ当だし。
しかし行き詰めると彼らが嫌っている(はずの)ファッショになるのかー。
すごく実感を伴って納得できる説です!
お花畑を踏み躙られるとすごく怒るよね、こういう人って。
竹田って人の事はよく知りませんが、中野翠の文章には敬意を表して原文ママで引用しました。
竹田の言葉は引用の引用ですが、平仮名を漢字にした箇所が数箇所あります。

それにしても中野翠の文章って雑誌のコラムなんかだとそうは思わないんだけれど、文庫でまとめて読むとなると読みにくい。
文章のテンポが急ぎすぎ。
もっと「溜めて」書いてもいいんじゃないでしょうか。
読者は常に勝手な事を言うものです。


※文章が達者な人はオブラートにくるんで曖昧に誤魔化す事も上手い。
 揚げ足を取られるような隙だらけの文章を書かないのだ。
 素人ゆえか本人の素質ゆえか、その点が安野モヨコはどうにも拙く
 不快や反感をモロに売り買いしてしまうのだと思う。
 私は結局のところ彼女のビンボくさいところが嫌なんだと思う。
 貧乏は仕方がないけれど貧乏臭いのは嫌、と
 奇しくも中野翠が「ウテナさん 祝電です」の冒頭で書き記していた。


全然タイトルと関係ない読書感想文になってしまいました。
これから寝て起きたら新年会だー!きゃー!まだ髪ブローしていないぃぃ…(汗)
で、明日(4日)から仕事始めですか? 起きられるのか?私。
こんなに堕落しきってしまって果たして社会復帰できるのでしょうか。
謹賀新年の人も喪中欠礼の人も、本年もどうぞよろしくお願いします。
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by yuzuruha_neko | 2005-01-03 03:10 | 読書・漫画・TV
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